プラダー・ウィリ症候群は遺伝子が異常になるため起こる遺伝性の疾患である。
満腹中枢のブレーキがかからなくなることがあり、
歯止めなき食欲が起きると、肥満になりやすい。
間脳下垂体機能も障害を持ちやすく、
私たちでいう、汎下垂体機能不全。
生まれつき下垂体関連のホルモンが分泌されにくいので、
補充する必要が生じるようだ。
実際、成長ホルモン値がほとんどない人が多いが、
それ以外も、治療の基準値は越えていてもほとんどの人が正常ではない。
成長ホルモン剤は、
背を伸ばすことも期待して投与されるのだが、
それだけじゃない。
肥満を解消することを期待して投与される。
成長ホルモンはインスリンの拮抗ホルモンであるし、
私たち先端巨大症患者に糖尿患者が多いように、
成長ホルモンが多すぎると、
糖尿病になりやすい。
不足を適度に補うのであれば、
基礎代謝を増すので糖尿病になりにくい体質を作ることが考えられる。
プラダー・ウィリ症候群では筋肉が非常に少ないため基礎代謝が低く、
活動が減少し、
それが高度肥満の一因でもある。
さらに発達にも悪影響が及ぶこともわかってきた。
投与にあたって、医師は慎重に見極めながら、
肥満解消を狙うはずだ。
このことは小慢の通達文書にも書かれている。
小児慢性特定疾患治療研究事業の適正化についてでは、
プラダー・ウィリ症候群の成長ホルモン使用についてこうある。
「過度の肥満が有害事象のリスクを増大させることが知られているので、
有害事象の発現のないよう細心の注意を払って
慎重かつ安全に治療を行う必要がある。
この過度の肥満の目安は別添3に示す体重
(年齢階級別性別身長別標準体重の+90%値)とし、
この値を参考とされたい」
ちなみに、
2006年5月12日の政府問答集で
成長ホルモン剤は要件を満たさないと国庫負担の対象としないが、
他の薬物療法については事業対象としても差し支えないことが書かれている。
また、
糖尿病になる可能性があるプラダー患児が
食事療法と生活指導のみ実施している場合は
対象外だそうな。
一例として埼玉県川越市が作成した基準一覧は
こんな感じになる。
プラダーウィリー症候群における開始基準は、
標準身長の-2.0SD 以下
または、年間の成長速度が2年以上にわたって
標準値の-1.5SD 以下である場合、である。
この基準をクリアして開始したとしても、
毎年継続してよいか調べる。
成長速度が年間4センチ以上あって、
治療中1年間の成長速度と、投与前1年間の成長速度の差が、
年間1センチ以上なくてはいけない。
骨年齢が男17 歳、女15 歳以上に達したら投与は中止される。
成長ホルモンはいま、成人GHDにも適用される時代である。
背を伸ばすだけのホルモン剤ではないからだ。
だったらなぜ、児童の時期は、
背丈だけで、その子どもの運命が決まるのか。
なんだか腑に落ちない小慢事業である。
(09年6月24日一部加筆)