定義など根幹にかかわることは、
審議の段階で整理しておかないと、
当事者を交えても議論を進めることは難しいでしょう。
良識の府での徹底審議を求めるゆえんです。
なかでも、「谷間のない制度」は、
今回、有力な焦点ですし、
難病を加えるという一部前進もあります。
ですが元来、当事者団体が求めてきたのは、
サービスを必要とする慢性疾患・難病患者が
適切に利用できる
普遍的な仕組みにしていくことでした。
臓器別疾患別に門前払いするやり方を改め、
本当に谷間をなくすよう、
国際的な障害への考え方が
日本でも実現することが期待されていたわけです。
今回、障害に難病を加えると言っても、
新たに障害者手帳を交付するわけではありません。
難病の対象もはっきりしていませんし、
やり方も未定です。
部分的な改良も大事ですが、
基本的な枠組みを変えるわけではない。
制度の根幹は変わらないと考える方が自然です。
厚労省の本来の考えを知るには、
社会保障審議会障害者部会(2008年10月31日)が分かりやすい。
障害の範囲。
自立支援法の3年目の見直しにあたっての資料です。
障害者の範囲について厚労省側は
「支援の必要性によって
障害者自立支援法の対象者を判断することについて、
他制度への影響等、多くの課題がある」としたうえで、
「難病を身体障害に含める」ことについては、
「身体機能に一定以上の障害が存在していることや、
その障害が固定又は永続していることなど、
これまで一定の考え方に基づいて行ってきているところであり、
難病を身体障害に含めることは
慎重に検討すべきではないか」としています。
当時の議事録を拝見しますと、支援の必要性によって、
対象者を判断するべきかどうか。
根幹的な問題を議論しています。
ある委員が「結論から言えば、
この障害者自立支援法の定義はもうなくすべきだ。
仮に置くとすれば障害者権利条約
あるいは広い範囲で定義をするしかない」と発言します。
これにたいし、障害保健福祉部企画課長が切り返します。
「自立支援法の枠組みを大きく変えて、
支援の必要性をきちっとチェックすればいいと。
そういう立て方をすると、
いろんなものが入り得る形になる。
こういう方向で難病を入れる方法がある。
もう一つは現行法の枠組みを前提にして、
すなわち身体障害者福祉法などに代表される
個別の法体制の定義をまず持ってきて、
その定義に当たるかどうかを一個一個判断する。
大きく2つの方法がある。
2番目の方法で難病が入るかどうか
検討する過程のところが文章のところ。
障害が固定して永続している、
生活支援上の支障があることが要件になっているのが、
一般的な考え方の整理。
そうすると、では難病をそこに入るかどうかという観点で
整理しようとすると、なかなか全て入るということにはならない。
支援の必要性だけで判断するとなると、
対象は今の障害者のみならず、
恐らく難病に限らず割と幅広く疾病全体
あるいは疾病以外にも何かあるかもしれない。
一時的な疾病、難病も含む疾病も全部含めて
非常に認定区分が出た支援が必要な人に対する支援をする法律と、
こういう法体系に恐らく論理的にはなってくる。
介護保険制度との関係をどうするか、
母子家庭でもいろんな支援もしている。
いろんな他分野の支援全体との関係をよくよく考えて
いかなきゃいけないから、
単に難病を入れるための拡大というよりも
制度の立て方自体を
全ての支援が必要に対する支援法にするかどうか。
そういうことになる」
さて、当時の厚労省の考えでいうと、後者の方法、
「個別の法体制の定義をまず持ってきて、
その定義に当たるかどうかを一個一個判断する」
つまり、難病を入れても法体系は壊さないようにする。
支援の必要性については議論を避ける。
サービスを必要とする人にとっては、
とんでもない考えですけど、
厚労省はこう考えたのではないでしょうか。